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調剤薬局の仕事の流れを図解|受付から薬歴までの業務フロー

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

調剤薬局の仕事は「薬を渡すだけ」ではありません

調剤薬局では、処方箋を受け付けてから薬を渡すまでの間に、確認、調剤、説明、記録など、いくつもの工程があります。さらに、処方内容に疑問があれば医師に確認するなど、流れは一直線に進むとは限りません。

このページでは、一般的な流れの一例を図で示し、どこで負担が生まれやすいか、 そして各工程をどの記事で詳しく読めるかをまとめます。

  • 仕事の全体像(13の工程と、全体にかかわる横断業務)
  • 疑義照会で流れが止まる仕組み
  • 薬歴や待ち時間が、残業・負担につながる構造

ここで示すのは、薬局業務を理解するための一般的な流れの一例です。順序や担当は、薬局によって異なります。個別の患者さんへの診断や治療の判断を示すものではありません。

調剤薬局の業務フロー(13の工程)

工程をクリックすると、下の解説に移動します。各工程には、「何をするか」「主な確認事項」「起きやすい問題」を短く示しています。

  1. 1患者来局何をする:患者さんが処方箋を持って来局し、窓口に向かう。確認:処方箋(紙または電子)の有無起きやすい問題:特定の時間帯に来局が集中する
  2. 2処方箋受付何をする:処方箋を受け取り、受付の手続きを始める。確認:処方箋の記載内容の一次確認起きやすい問題:受付が集中する
  3. 3患者情報・保険情報の確認何をする:患者さんの情報、保険の情報、他に服用している薬、アレルギーなどを確認する。確認:保険資格・負担割合起きやすい問題:確認項目が多く時間がかかる
  4. 4処方監査何をする:処方内容を、薬学的な観点で確認する。確認:用法・用量起きやすい問題:受付の集中で確認の時間を確保しにくい
  5. 5疑義照会何をする:処方せん中に疑わしい点があるとき、処方した医師などに問い合わせて確認する。確認:疑わしい点の内容起きやすい問題:医療機関に連絡がつながりにくい
  6. 6調剤設計何をする:一包化や分割など、薬をどのように準備するかを決める。確認:飲みやすさ・管理しやすさへの配慮起きやすい問題:調剤方法の判断に迷う
  7. 7調剤何をする:薬を取りそろえ、必要に応じて計量・混合・一包化などを行う。確認:薬の取り違えの防止起きやすい問題:一包化や散剤は時間がかかる
  8. 8最終監査何をする:調剤した薬が、処方内容どおりか、最終的に確認する。確認:処方内容との一致起きやすい問題:一人薬剤師では、確認を別の目に頼めない
  9. 9服薬指導何をする:患者さんに、薬の使い方や注意点などの情報を提供し、必要な指導を行う。確認:患者さんの理解起きやすい問題:説明の繰り返しで時間がかかる
  10. 10薬剤交付何をする:調剤した薬を患者さんに渡す。確認:患者さんの確認起きやすい問題:受け渡しの取り違えを防ぐ確認
  11. 11会計何をする:費用の計算と受け取りを行う。確認:負担割合・金額起きやすい問題:会計が集中する
  12. 12薬歴・調剤録等の記録何をする:服薬指導の内容や調剤の記録を残す。確認:記録の抜け・誤り起きやすい問題:入力の時間を確保できない
  13. 13次回来局・継続フォロー何をする:次回の来局に備え、服用の状況を継続的に把握する。確認:服用の状況起きやすい問題:継続フォローの時間を確保しにくい

疑義照会があると、流れは一直線に進まない

処方監査で疑わしい点が見つかると、処方した医師などへの問い合わせ(疑義照会)が入ります。確認が済むまで調剤はできないため、患者さんの待ち時間や、電話対応の負担にも影響します。

処方監査から、調剤または疑義照会へ(一般的な流れの例)
処方監査
調剤へ進む
疑義照会(処方医へ問い合わせ)
回答を確認する
処方の変更・内容の確認
調剤へ進む

薬剤師法第24条は、処方せん中に疑わしい点があるときは、処方医に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めています。確認の間は、調剤が止まります。

工程別の解説

各工程の内容と、現場で起きやすい問題を整理しています。関連する記事へのリンクと、前後の工程への移動も用意しています。

1患者来局

何をする?
患者さんが処方箋を持って来局し、窓口に向かう。電子処方箋の場合は、事前に引換番号を伝えて来局することもある。
主な作業
  • 来局の受け付け
  • 処方箋の受け取り
主な確認事項
  • 処方箋(紙または電子)の有無
  • お薬手帳・保険証などの持参
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 特定の時間帯に来局が集中する
  • 窓口での待ち時間への不満

2処方箋受付

何をする?
処方箋を受け取り、受付の手続きを始める。薬剤師は、医師などの処方せんによらなければ調剤してはならない。
主な作業
  • 処方箋の受け取り
  • 受付の登録
主な確認事項
  • 処方箋の記載内容の一次確認
  • 交付の状況
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 受付が集中する
  • 電話対応と重なる
  • 待ち時間が増える
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第23条薬剤師は、医師、歯科医師または獣医師の処方せんによらなければ、販売または授与の目的で調剤してはならない。

3患者情報・保険情報の確認

何をする?
患者さんの情報、保険の情報、他に服用している薬、アレルギーなどを確認する。保険薬剤師は、調剤を行う場合に、患者の服薬状況と薬剤服用歴を確認しなければならない。
主な作業
  • 保険情報の確認
  • 患者情報の確認
  • 併用薬・お薬手帳の確認
  • アレルギー・副作用歴の確認
主な確認事項
  • 保険資格・負担割合
  • 服用中の薬
  • アレルギー・副作用の既往
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 確認項目が多く時間がかかる
  • 初回来局の聞き取りに時間を要する
  • 保険情報の変更の見落とし
根拠となる法令
  • 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 第8条第2項保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。

4処方監査

何をする?
処方内容を、薬学的な観点で確認する。問題がなければ調剤へ進み、疑わしい点があれば疑義照会へ進む。
主な作業
  • 処方内容の確認
  • 薬学的な分析
主な確認事項
  • 用法・用量
  • 飲み合わせ・重複
  • 患者さんの情報との整合
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 受付の集中で確認の時間を確保しにくい
  • 確認に迷う処方がある

5疑義照会

何をする?
処方せん中に疑わしい点があるとき、処方した医師などに問い合わせて確認する。確認した後でなければ、調剤してはならない。
主な作業
  • 処方医への問い合わせ
  • 回答の確認
  • 必要に応じた処方内容の変更
主な確認事項
  • 疑わしい点の内容
  • 回答の内容と処方の変更点
  • 患者さんへの説明
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 医療機関に連絡がつながりにくい
  • 待ち時間が延びる
  • 電話対応と重なる
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第24条薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師または獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。
  • 薬剤師法 第23条第2項処方せんに記載された医薬品を変更して調剤するには、処方せんを交付した医師などの同意を得る必要がある。

6調剤設計

何をする?
一包化や分割など、薬をどのように準備するかを決める。
主な作業
  • 調剤の方法の決定
  • 準備する薬の整理
主な確認事項
  • 飲みやすさ・管理しやすさへの配慮
  • 調剤にかかる時間の見通し
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 調剤方法の判断に迷う
  • 準備の時間が読みにくい

7調剤

何をする?
薬を取りそろえ、必要に応じて計量・混合・一包化などを行う。
主な作業
  • ピッキング
  • 計量調剤
  • 一包化
  • 散剤・水剤の調剤
主な確認事項
  • 薬の取り違えの防止
  • 数量・規格
  • 在庫の有無
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 一包化や散剤は時間がかかる
  • 欠品への対応
  • 取り違えを防ぐ緊張が続く

9服薬指導

何をする?
患者さんに、薬の使い方や注意点などの情報を提供し、必要な指導を行う。必要があるときは、服用の状況を継続的に把握する。
主な作業
  • 薬の説明
  • 使い方・注意点の指導
  • 患者さんからの聞き取り
主な確認事項
  • 患者さんの理解
  • 服用の状況
  • 生活への影響
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 説明の繰り返しで時間がかかる
  • 混雑時に時間を確保しにくい
  • 説明と記録の両立
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第25条の2薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、患者などに必要な情報を提供し、必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。必要があると認める場合には、患者の使用の状況を継続的かつ的確に把握する。

10薬剤交付

何をする?
調剤した薬を患者さんに渡す。薬の容器などには、患者さんの氏名、用法、用量などを記載する。
主な作業
  • 薬の受け渡し
  • 容器・包装への記載の確認
主な確認事項
  • 患者さんの確認
  • 薬と記載内容の一致
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 受け渡しの取り違えを防ぐ確認
  • 窓口の混雑
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第25条薬剤師は、販売または授与の目的で調剤した薬剤の容器または被包に、処方せんに記載された患者の氏名、用法、用量その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。

12薬歴・調剤録等の記録

何をする?
服薬指導の内容や調剤の記録を残す。処方せんへの記入、調剤済みの処方せんの保存、調剤録の記入なども、この段階の業務にあたる。
主な作業
  • 薬歴の入力
  • 薬歴の確認
  • 処方せんへの記入
  • 調剤録の記入
主な確認事項
  • 記録の抜け・誤り
  • 指導内容の反映
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 入力の時間を確保できない
  • 閉局後の記録が残業につながる
  • 在宅などで入力環境が整わない
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第26条薬剤師は、調剤したときは、その処方せんに、調剤済みの旨、調剤年月日その他厚生労働省令で定める事項を記入し、記名押印または署名しなければならない。
  • 薬剤師法 第27条薬局開設者は、当該薬局で調剤済みとなった処方せんを、調剤済みとなった日から3年間、保存しなければならない。
  • 薬剤師法 第28条薬局開設者は薬局に調剤録を備え、薬剤師は薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。調剤録は、最終の記入の日から3年間保存する。

13次回来局・継続フォロー

何をする?
次回の来局に備え、服用の状況を継続的に把握する。
主な作業
  • 服用状況の継続的な把握
  • 次回来局時の確認
主な確認事項
  • 服用の状況
  • 前回の指導内容
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 継続フォローの時間を確保しにくい
  • 電話や在宅対応と重なる
根拠となる法令
  • 薬剤師法 第25条の2第2項必要があると認める場合には、患者の薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握し、必要な情報の提供と指導を行う。

全体にかかわる横断業務

フローの各工程とは別に、在庫、発注、在宅、電話、店舗運営など、薬局全体を支える業務があります。これらが重なることで、フロー上の工程に負担が及びます。

+在庫管理

何をする?
医薬品の在庫を把握し、欠品や過剰な在庫が出ないように管理する。
主な作業
  • 在庫の確認
  • 欠品への対応
  • 棚卸
  • 店舗間の在庫の移動
主な確認事項
  • 在庫の数量
  • 使用期限
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 発注・確認が閉局後に回る
  • 欠品が調剤を止める

+医薬品発注

何をする?
必要な医薬品を、必要な量だけ発注する。
主な作業
  • 発注
  • 欠品時の取り寄せ
主な確認事項
  • 発注の数量とタイミング
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 発注の判断と手続きに時間がかかる

+廃棄・期限管理

何をする?
動かない在庫や、使用期限の近い医薬品、回収の対象となる医薬品を管理する。
主な作業
  • 不動在庫の処理
  • 医薬品回収への対応
主な確認事項
  • 使用期限
  • 回収の対象かどうか
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 確認の抜け
  • 廃棄の判断と手続きの手間

+在宅対応

何をする?
患者さんの居宅や施設を訪問して、薬の管理や服薬の支援を行う。
主な作業
  • 訪問
  • 施設への対応
主な確認事項
  • 訪問先での服薬状況
  • 多職種との情報共有
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 店舗を離れる間の体制
  • 移動時間
  • 訪問先での記録

+電話対応

何をする?
患者さんや医療機関などからの電話に対応する。
主な作業
  • 電話の応対
  • 患者さんからの問い合わせへの対応
主な確認事項
  • 用件の確認
  • 必要な業務への引き継ぎ
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 調剤や服薬指導の途中に割り込む

関連記事

+患者クレーム対応

何をする?
患者さんからの苦情や要望に対応する。
主な作業
  • 苦情・要望の受け止め
  • 上司への引き継ぎ
主な確認事項
  • 事実関係
  • 対応の方針の共有
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 一人で受け止めて消耗する
  • 対応のルールがない

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+店舗運営

何をする?
開局・閉局の作業、スタッフの教育、会議、本部への報告など、店舗を運営する業務。
主な作業
  • 開局準備・閉局作業
  • スタッフ教育
  • 管理薬剤師の業務
  • 店舗会議
  • 本部への報告
主な確認事項
  • 業務の分担
  • 報告の期限
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 現場業務との兼務で余裕がなくなる
  • 閉局後の作業が残業につながる

+行政対応

何をする?
行政への届出や、制度の変更への対応、レセプトや調剤報酬に関する業務。
主な作業
  • 行政への対応
  • レセプトに関する業務
  • 調剤報酬に関する業務
  • 制度変更への対応
主な確認事項
  • 届出・請求の期限
  • 制度変更の内容
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 制度変更の対応が現場に集中する

+医療機関との連携

何をする?
医師、看護師、介護職など、他の職種や医療機関と情報を共有し、連携する。
主な作業
  • 医療機関との連携
  • 医師との連携
  • 看護師などとの連携
主な確認事項
  • 情報共有の内容
  • 連絡の経路
よく起きる問題(編集部の整理)
  • 連絡がつながりにくい
  • 連携の窓口が整理されていない

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どこで負担が生まれるのか

業務の負担は、1つの工程だけで決まるのではなく、工程どうしや、人員・時間帯と重なって生まれます。代表的な2つの構造を、概念図で示します。

処方箋1枚の処理に、どの工程で時間がかかるか

処方箋1枚あたりの主な業務時間処方箋1枚の受付から薬剤交付・記録までの平均時間(業務ごと)5か所の薬局の外来患者、76枚の処方箋/資料の公表は令和3年(2021年)。調査の実施時期は、このページには記載がない
処方箋1枚あたりの主な業務時間
区分値(秒)
受付・薬袋準備1分08秒
薬歴確認・処方箋監査2分26秒
計数調剤2分33秒
監査3分05秒
薬剤交付・服薬指導3分29秒
合計(処方箋1枚)12分41秒

合計(処方箋1枚):12分41秒

測定・集計の範囲:調剤のうち、計数調剤(錠剤などを取りそろえる行為)を測定。液剤などの計量調剤、一包化を要する業務は含まない

※ 調査対象が小さく(5薬局・76枚)、全国の平均を示すものではありません。

※ 調査から数年が経っています。現在の薬局の状況と同じとは限りません。

出典:厚生労働省、中央社会保険医療協議会 総会 総-2「調剤(その2)」31ページ(令和3年10月22日)。原文で確認:2026-10-03

この調査では、処方箋1枚の処理に平均約12分41秒かかり、工程別では、薬剤交付・服薬指導(3分29秒)が最も長く、次いで監査(3分05秒)でした。ただし、5薬局・76枚の小さな調査で、計数調剤のみが対象です。薬局や処方内容によって、時間の配分は異なります。

負担が生まれる構造(概念図)

薬歴が残業につながる構造(編集部による整理・概念図)
  1. 患者対応
  2. 次の患者対応
  3. 記録の後回し
  4. 未記載の蓄積
  5. 閉局後の記録
  6. 残業
待ち時間が増える構造(編集部による整理・概念図)
  • 患者の集中
  • 調剤にかかる時間
  • 疑義照会
  • 人員不足
待ち時間の増加

それぞれの詳しい原因と、今の職場でできることは、次の記事にまとめています。

業務を知ったあとに:悩み・原因・改善・キャリア

このサイトでは、業務から悩み、原因、改善方法、キャリアまでを、次の順序で整理しています。

  1. 1業務を知る仕事の流れと、各工程の意味(このページ)
  2. 2悩みを知る薬歴、残業、一人薬剤師など、悩みから探す
  3. 3原因を知る悩みを業務量・人員・システム・組織・待遇に分けて見る
  4. 4改善方法を知る業務の工夫、DX、職場への相談、異動
  5. 5キャリアを考える次の職場で確認する条件

悩みの記事を、業務フロー上の位置から探す

現職での改善が難しい場合の選択肢として、次の職場で確認したい条件は次の薬局で確認する項目にまとめています。

出典