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処方監査とは:確認する内容と、法令で決まっていること

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

処方監査は、受け付けた処方箋の内容を、薬学的な観点で確認する業務です。調剤の流れでは、受付・患者情報の確認のあとにあり、問題がなければ調剤へ、疑わしい点があれば疑義照会へと進みます。

「受付が重なって確認の時間が取れない」「判断に迷う処方がある」といった負担は、この工程で起きやすいものです。この記事では、確認する内容と、法令で決まっていること、負担が生まれる理由を整理します。

処方箋に記載されている事項

医師が患者さんに交付する処方せんの記載事項は、医師法施行規則の第21条に定められています(e-Gov法令検索、2026年10月6日に確認)。

処方せんの記載事項(医師法施行規則第21条)と、確認の観点

  • 患者の氏名・年齢

    確認の観点(編集部の整理):
    患者さん本人の処方箋か。年齢に対して、薬や用量が妥当か
  • 薬名・分量・用法・用量

    確認の観点(編集部の整理):
    薬の名称、1回量・1日量、服用のタイミング、日数が、通常の範囲か
  • 発行の年月日・使用期間

    確認の観点(編集部の整理):
    使用期間内か
  • 病院・診療所の名称と所在地(または医師の住所)

    確認の観点(編集部の整理):
    どこで発行された処方箋か
  • 医師の記名押印または署名

    確認の観点(編集部の整理):
    記載に不備がないか

記載事項に漏れや不明な点があれば、処方した医師に確認する必要があります。

保険薬剤師の確認に関する定め

保険薬局で健康保険の調剤に従事する保険薬剤師について、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の第8条は、次のように定めています(e-Gov法令検索、2026年10月6日に確認)。

  • 保険医等の交付した処方箋にもとづいて、患者の療養上妥当適切に、調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない
  • 調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない

処方監査は、この「薬学的管理」の最初の確認にあたる工程として位置づけられます(編集部の整理)。処方内容だけでなく、患者さんの情報(他の薬、薬歴、アレルギーなど)と合わせて確認することが、ここで求められます。

確認する内容(編集部による整理)

処方監査で確認する点(一般的な例。実際の判断は、薬剤師が個別に行います)

  • 用法・用量

    内容(一般的な例):
    通常の範囲か、日数は妥当か
  • 飲み合わせ・重複

    内容(一般的な例):
    同じ成分や効能の重複、相互作用の可能性
  • 患者さんの情報との整合

    内容(一般的な例):
    年齢、アレルギー歴、他の薬、薬歴との食い違い
  • 記載の不備

    内容(一般的な例):
    記載事項の漏れ、読み取れない箇所

疑わしい点があるときの流れ

処方箋に疑わしい点があるときは、薬剤師法第24条により、処方した医師などに問い合わせて確かめた後でなければ、調剤してはなりません。詳しくは「疑義照会とは」で整理しています。

疑義照会をした場合の記録について、薬剤師法施行規則の第15条は、処方箋に記入すべき事項として、次のものを挙げています(e-Gov法令検索、2026年10月6日に確認)。

  • 医師などの同意を得て、処方された医薬品を変更して調剤した場合は、その変更の内容
  • 疑わしい点を医師などに確かめた場合は、その回答の内容

また、保険医療機関及び保険医療養担当規則の第23条第3項は、保険医に対して、交付した処方箋に関して保険薬剤師から疑義の照会があったときは、適切に対応しなければならないと定めています。

処方監査から、調剤または疑義照会へ(一般的な流れの例)
処方監査
調剤へ進む
疑義照会(処方医へ問い合わせ)
回答を確認する
処方の変更・内容の確認
調剤へ進む

薬剤師法第24条は、処方せん中に疑わしい点があるときは、処方医に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めています。確認の間は、調剤が止まります。

時間の目安:公的な調査から

厚生労働省の資料(令和3年度の調査)では、処方箋1枚あたりの業務のうち、「薬歴確認・処方箋監査」は、平均で2分26秒とされています。

処方箋1枚あたりの主な業務時間処方箋1枚の受付から薬剤交付・記録までの平均時間(業務ごと)5か所の薬局の外来患者、76枚の処方箋/資料の公表は令和3年(2021年)。調査の実施時期は、このページには記載がない
処方箋1枚あたりの主な業務時間
区分値(秒)
受付・薬袋準備1分08秒
薬歴確認・処方箋監査2分26秒
計数調剤2分33秒
監査3分05秒
薬剤交付・服薬指導3分29秒
合計(処方箋1枚)12分41秒

合計(処方箋1枚):12分41秒

測定・集計の範囲:調剤のうち、計数調剤(錠剤などを取りそろえる行為)を測定。液剤などの計量調剤、一包化を要する業務は含まない

※ 調査対象が小さく(5薬局・76枚)、全国の平均を示すものではありません。

※ 調査から数年が経っています。現在の薬局の状況と同じとは限りません。

出典:厚生労働省、中央社会保険医療協議会 総会 総-2「調剤(その2)」31ページ(令和3年10月22日)。原文で確認:2026-10-03

調査の対象は5か所の薬局・76枚の処方箋で、全国の平均を示すものではありません。処方内容や、患者さんの薬歴の量によって、必要な時間は大きく変わります。

負担が生まれやすいポイント(編集部の整理)

  • 受付の集中

    起きやすいこと:
    処方箋が集中する時間帯に、確認の時間を確保しにくい
  • 判断に迷う処方

    起きやすいこと:
    疑義照会が必要か、判断に迷い、確認に時間がかかる
  • 情報の確認

    起きやすいこと:
    薬歴・お薬手帳・併用薬など、確認する情報が多い
  • 人員

    起きやすいこと:
    確認、調剤、受付を兼ねると、一つひとつの確認が慌ただしくなる

これらは、処方箋の量、人員、システムによって変わります。人員の面は「人手不足の悩み」「一人薬剤師がきついとき」、薬歴の面は「薬歴が終わらないのは、能力不足とは限らない」を参照してください。

職場選びで確認したいこと

  • 処方箋が集中する時間帯に、処方監査を行う人員が確保されているか
  • 判断に迷う処方を、相談できる体制(同僚、管理薬剤師、手順)があるか
  • 薬歴や併用薬の情報を、確認しやすいシステム・環境か
  • 疑義照会が必要な場合の連絡の取り方(医療機関との事前の取り決めなど)

調剤の流れ全体の中での位置づけは「薬局の業務フロー」にまとめています。

業務フローの中での位置

勤務条件を比較する人員体制・残業・勤務条件などを比較するために、転職サービスの特徴を確認できます。

出典