疑義照会とは:薬剤師法で決まっていることと、負担が生まれやすいポイント
ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日
疑義照会は、処方箋に疑わしい点があるときに、処方した医師などに問い合わせて確認する業務です。調剤の流れの中では、処方監査の次にある工程で、問題がなければ調剤へ、疑わしい点があれば疑義照会へと分かれます。
「電話がつながらない」「患者さんを待たせてしまう」といった負担は、この工程で起きやすいものです。この記事では、法律で決まっていることと、負担が生まれる理由を整理します。
薬剤師法で決まっていること
疑義照会に関わる条文は、薬剤師法の第24条と第23条第2項です(e-Gov法令検索、2026年10月4日に確認)。
疑義照会に関わる薬剤師法の条文(要旨)
| 条文 | 内容(要旨) |
|---|---|
| 第24条(処方せん中の疑義) | 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師または獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない |
| 第23条第2項(処方せんによる調剤) | 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師などの同意を得た場合を除いては、これを変更して調剤してはならない |
第24条(処方せん中の疑義)
- 内容(要旨):
- 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師または獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない
第23条第2項(処方せんによる調剤)
- 内容(要旨):
- 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師などの同意を得た場合を除いては、これを変更して調剤してはならない
つまり、疑わしい点を確認する前に調剤を進めることはできません。また、処方された医薬品を変えて調剤する場合は、処方した医師などの同意が必要です。ここに、疑義照会が調剤の流れを止める理由があります。
調剤の流れの中での位置
薬剤師法第24条は、処方せん中に疑わしい点があるときは、処方医に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めています。確認の間は、調剤が止まります。
処方監査で処方内容を確認し、問題がなければ調剤設計・調剤へ進みます。疑わしい点があれば、処方した医師に問い合わせ、回答を確認してから進みます。回答によって処方内容が変わる場合は、変更点を確認し、患者さんにも説明します。
疑義照会が必要になる場面(編集部による整理)
どのような場合に疑義照会を行うかは、処方内容や患者さんの状況によって変わります。一般的な例を整理します。
| 場面の例 | 確認すること |
|---|---|
| 用法・用量が、通常と異なる | 記載の誤りか、意図した処方か |
| 同じ成分や、同じ効能の薬の重複がある | 重複が意図したものか |
| 飲み合わせ(相互作用)に注意が必要 | 併用してよいか、用量の調整が必要か |
| 患者さんの情報と合わない(アレルギー歴、腎機能、年齢など) | 処方を続けてよいか、変更が必要か |
| 処方箋の記載が不明確、または不足している | 正しい内容 |
用法・用量が、通常と異なる
- 確認すること:
- 記載の誤りか、意図した処方か
同じ成分や、同じ効能の薬の重複がある
- 確認すること:
- 重複が意図したものか
飲み合わせ(相互作用)に注意が必要
- 確認すること:
- 併用してよいか、用量の調整が必要か
患者さんの情報と合わない(アレルギー歴、腎機能、年齢など)
- 確認すること:
- 処方を続けてよいか、変更が必要か
処方箋の記載が不明確、または不足している
- 確認すること:
- 正しい内容
実際に疑義照会が必要かどうかは、薬剤師が薬学的に判断します。この表は、判断基準ではなく、場面を整理した例です。
事前合意(プロトコール)による簡素化
疑義照会は、法律上、医師に確認することが原則です。一方で、厚生労働省の通知(医政発0430第1号、平成22年4月30日)は、薬剤師を積極的に活用することが望まれる業務の一つとして、次のように整理しています。
薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。
医療機関と薬局が、あらかじめ変更してよい範囲を合意しておく「事前合意(プロトコール)」は、この考え方にもとづく取り組みです。何を、どの範囲で、どの手順で変更してよいかは、合意の内容によって、医療機関ごとに異なります。薬局が一方的に決められるものではありません。
負担が生まれやすいポイント
| ポイント | 起きやすいこと(編集部の整理) |
|---|---|
| 連絡がつながりにくい | 医療機関の診療中や、昼休みなどは、電話がつながりにくい。つながるまで、調剤を進められない |
| 待ち時間が延びる | 確認が終わるまで調剤が止まるため、患者さんの待ち時間が長くなる |
| 電話対応と重なる | ほかの電話や、窓口の対応と重なると、問い合わせに時間を割きにくい |
| 人員が少ない | 一人の薬剤師が、監査・調剤・問い合わせを兼ねると、確認の時間を確保しにくい |
連絡がつながりにくい
- 起きやすいこと(編集部の整理):
- 医療機関の診療中や、昼休みなどは、電話がつながりにくい。つながるまで、調剤を進められない
待ち時間が延びる
- 起きやすいこと(編集部の整理):
- 確認が終わるまで調剤が止まるため、患者さんの待ち時間が長くなる
電話対応と重なる
- 起きやすいこと(編集部の整理):
- ほかの電話や、窓口の対応と重なると、問い合わせに時間を割きにくい
人員が少ない
- 起きやすいこと(編集部の整理):
- 一人の薬剤師が、監査・調剤・問い合わせを兼ねると、確認の時間を確保しにくい
これらは、処方箋の量、人員、医療機関との関係によって変わります。「疑義照会がつらい」という悩みは、どの点が原因かを分けて考えると、対処の方向が見えます。たとえば、人員の面は「一人薬剤師がきついとき」「人手不足の悩み」、職場の確認は「次の薬局で確認する項目」を参照してください。
職場選びで確認したいこと
- 疑義照会の対応を、誰が、どのような手順で行っているか
- 医療機関との事前合意(プロトコール)があるか。ある場合、範囲や手順が文書で整理されているか
- 処方箋の集中する時間帯に、問い合わせの対応をする人員が確保されているか
- 疑義照会の内容を、記録・共有する仕組みがあるか
調剤の流れ全体の中での位置づけは「薬局の業務フロー」にまとめています。
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