薬局DXとは:業務のどこが変わり、何は変わらないのか
ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日
「薬局DX」という言葉は、人によって使い方が異なります。このサイトでは、システムやデータの活用によって、薬局の業務の負担を減らしたり、進め方を変えたりする取り組みという意味で使います。
DXは、薬剤師の悩みの原因によっては有効な選択肢になりますが、導入すれば必ず改善するわけではありません。このページでは、DXが関わる領域を整理し、何が変わり、何は変わらないのかをまとめます。
DXが関わる業務の領域
調剤薬局の業務を、システムが関わる領域で分けると、次のようになります。
| 領域 | 関わる業務 |
|---|---|
| 電子薬歴 | 薬歴の入力・確認(「電子薬歴で効率化できること」) |
| 在庫管理 | 発注、欠品対応、不動在庫、棚卸(「在庫管理を効率化する方法」) |
| レセプトコンピュータ | 調剤報酬の計算、会計、請求(「レセコン(レセプトコンピュータ)とは」) |
| 電子処方箋 | 処方箋の受け取り、重複投薬等のチェック |
| 調剤機器・自動化 | ピッキング、分包など(「調剤機器・自動化」) |
| AI | 薬歴・服薬指導の支援など(「薬局とAI」) |
電子薬歴
薬歴の入力・確認(「電子薬歴で効率化できること」)
在庫管理
発注、欠品対応、不動在庫、棚卸(「在庫管理を効率化する方法」)
レセプトコンピュータ
調剤報酬の計算、会計、請求(「レセコン(レセプトコンピュータ)とは」)
電子処方箋
処方箋の受け取り、重複投薬等のチェック
調剤機器・自動化
ピッキング、分包など(「調剤機器・自動化」)
AI
薬歴・服薬指導の支援など(「薬局とAI」)
領域ごとに、変わる業務も、関わる人も違います。自分の悩みの原因がどの領域にあるかを、先に整理しておくと、検討が進めやすくなります。
公的機関の情報で確認できる例:電子処方箋
電子処方箋は、これまで紙で発行されていた処方箋を電子化し、医療機関と薬局で情報を共有する仕組みです。厚生労働省の公表資料によると、薬局にとって次のような変化があるとされています。
- 調剤を行う薬局が、電子処方箋管理サービスというシステムから、処方箋の原本をデータで取得する
- 複数の薬をまとめて飲みやすくする一包化などに、あらかじめ取りかかることができ、薬局での待ち時間の短縮につながる
- 薬剤師が、システム上で服用中の薬を確認でき、重複投薬や併用禁忌の回避に役立つ
また、厚生労働省の広報誌によると、電子処方箋管理サービスの運用は2023年1月に始まりました。
こうした仕組みを使うには、薬局側のシステムの対応や、運用の準備が必要になります。導入の状況や条件は、薬局ごとに異なります。
厚生労働省は、電子処方箋について2026年5月時点で9割以上の薬局に導入されていると案内しています。最新の導入・活用の状況は、デジタル庁が作成するダッシュボードで確認できるとされています(2026年10月3日に確認)。ただし、導入されていることと、実際に電子処方箋を受け付けて活用していることは、同じではありません。自分の職場や、候補の薬局の状況は、個別に確認が必要です。
民間のシステムの例
システムを提供する企業は、複数の領域をまとめて提供する場合があります。たとえば、株式会社メドレーの2025年9月1日の発表では、同社のクラウド型電子薬歴「MEDIXS」に、レセコンと在庫管理を加えた形で、薬局向けのシステムを展開することが紹介されています。ただし、提供時期は「2026年4月以降」の予定とされており、実際の提供状況は、提供元の最新の情報で確認が必要です。
医療系SaaS全体の領域別の整理は「医療系SaaSの業界マップ」を、レセコンの役割は「レセコン(レセプトコンピュータ)とは」をご覧ください。
本記事は、特定のサービスをすすめるものではありません。
DXで変わりやすいこと、変わりにくいこと
変わる可能性があること
- 手作業や二重入力が多い作業の手間
- 入力できる場所や端末の制約
- 複数の店舗での情報の共有
システムだけでは変わりにくいこと
- 薬剤師の人数に対して、処方箋の量が多すぎること
- 業務の割り振りの偏り
- 管理者や同僚との関係
システムは、業務の一部を支援するものです。人員や組織の問題までは解決しません。また、導入には、操作の習得や運用の見直しの手間もかかります。
DXを、職場選びにどう使うか
DXへの投資状況は、職場を見る観点の一つになります。ただし、DXの導入状況だけで、働きやすさは判断できません。人員、処方箋の量、残業、休暇、管理体制とあわせて見ることが必要です。求人を見るときの確認項目は、「DXの導入状況を見る」にまとめています。
