薬剤師の給料が上がらない理由:給与の内訳と昇給の仕組みから考える
ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日
経験を積んでも給与があまり変わらない。同じ職場の人と比べて、納得できない。そう感じているとき、「自分の評価が低いからだ」と考えてしまう人もいます。
けれども、給与が上がるかどうかは、個人の頑張りだけで決まるものではありません。給与の内訳、昇給の仕組み、会社の制度、働き方といった要素が重なっています。このページでは、給与を「金額」ではなく「仕組み」として分解します。
給与の内訳を分けて見る
給与は、いくつかの項目の合計です。「上がらない」と感じる原因が、どの項目にあるのかを分けて確認します。
- 基本給:昇給の対象になる基礎の部分
- 手当:役職、資格、在宅、住宅など、条件を満たすと支給される部分
- 賞与:支給の有無や、算定の仕組み
- 残業代:残業の時間と、扱いの仕組み
- 想定残業(みなし残業):一定時間分の残業代が、給与に含まれている場合がある
給与明細と、雇用契約書や就業規則を並べて見ると、どの項目が増えにくいのかが分かります。手当が中心で基本給が小さい場合は、金額が同じでも、昇給や賞与の見え方が変わることがあります。
なお、残業代については、法定労働時間を超える時間外労働に25%以上の割増賃金が支払われ、月60時間を超える部分は50%以上とされています(厚生労働省「確かめよう労働条件」、2026年10月3日確認)。みなし残業(固定残業代)などの扱いは、雇用契約書や就業規則で、含まれる時間と金額を確認します。
昇給が小さくなる背景
昇給の仕組みが見えない
- 昇給の基準(評価、勤続年数、役職)が共有されているか
- 評価の面談や、昇給の説明の機会があるか
会社・店舗の規模や方針
- 会社の制度として、昇給の幅が小さく設定されていないか
- 店舗の規模や運営の方針が、昇給に影響していないか
役割と処遇のずれ
- 業務の量や責任が増えても、処遇が変わっていないか
- 管理薬剤師、在宅、教育など、担う役割に見合った手当があるか
給与水準を調べるときは
- 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は、企業の労働者の賃金、勤続年数、年齢などの実態を明らかにするための調査です。きまって支給する現金給与額や、年間賞与その他特別給与額などを調べています(2026年10月3日に確認)。職種や経験年数などの区分で公表されているため、自分の条件に近い区分を見ることで、水準の目安が得られます
- ただし、統計は全国や産業計などの平均的な姿であり、個別の薬局の給与を示すものではありません。勤務地、企業の規模、勤務形態によって差があるため、求人や雇用契約書の内容とあわせて確認します
給与を、働き方とセットで見る
金額だけを比べると、見落とすことがあります。
- 同じ年収でも、労働時間が違う:残業が多い職場の年収と、少ない職場の年収は、1時間あたりで見ると差が出ることがある
- 業務の負担が違う:一人薬剤師、在宅、待機などの負担が、給与に反映されているか
- 休日・休暇が違う:休みの取りやすさも、実質的な待遇の一部
年収の数字だけで職場を選ぶと、負担が増えて、別のつらさが生まれる可能性があります。
悩みのパターンから、原因を絞り込む
| こんなとき | 疑う原因と、最初の一手 |
|---|---|
| 何年働いても、昇給がほとんどない | 昇給の仕組み、または会社の制度の問題です。基準が分かれば、見通しが立ちます |
| 同僚との差の理由が分からない | 評価の基準が見えていない問題です。説明を求める機会をつくります |
| 業務や責任が増えたのに、給与が変わらない | 役割と処遇のずれです。実績を整理して、面談で具体的に相談します |
| 年収は悪くないが、時間あたりにすると低い | 労働時間・残業の問題です(「薬剤師の残業が減らない理由」) |
| 手当が減った、条件が分からない | 手当の支給条件の確認から始めます |
何年働いても、昇給がほとんどない
昇給の仕組み、または会社の制度の問題です。基準が分かれば、見通しが立ちます
同僚との差の理由が分からない
評価の基準が見えていない問題です。説明を求める機会をつくります
業務や責任が増えたのに、給与が変わらない
役割と処遇のずれです。実績を整理して、面談で具体的に相談します
年収は悪くないが、時間あたりにすると低い
労働時間・残業の問題です(「薬剤師の残業が減らない理由」)
手当が減った、条件が分からない
手当の支給条件の確認から始めます
今の職場でできること
- 給与明細の内訳を確認する:基本給、手当、賞与、残業代が、それぞれどうなっているかを把握する
- 昇給と評価の基準を確認する:どうすれば上がるのか、上司や人事に聞いて把握する
- 実績と役割を整理する:担当した業務、改善したこと、増えた責任などを書き出しておく
- 役割を広げる選択肢を確認する:管理薬剤師、在宅、教育など、手当や昇給につながる役割があるかを知る
- 面談で、具体的に相談する:「上げてほしい」だけでなく、実績と役割をもとに、処遇について話す
- 勤務形態や働き方を見直す:勤務日数や時間を調整することで、納得感が変わる場合もある
- 店舗異動を相談する:同じ会社でも、店舗によって役割や手当が異なる場合がある
職場を変えないと改善しにくいこと
- 昇給の仕組みそのものが見えず、説明もされない
- 実績や役割を示して相談しても、処遇が変わる見込みがない
- 会社の制度として、昇給や手当の幅が小さく、変更の予定がない
こうした場合は、個人の努力では限界があります。ただし、年収を上げることだけを優先すると、負担の大きい職場を選んでしまうことがあります。
次の職場で確認したい条件
- 年収の内訳(基本給、手当、賞与、みなし残業の有無と時間)
- 昇給の仕組みと、実際の昇給の例
- 手当の種類と、支給の条件(役職、在宅、資格など)
- 賞与の算定の仕組み
- 残業の実態と、残業代の扱い
- 給与に見合う、業務の負担(人員、処方箋の量、在宅、待機)
確認項目の詳しい一覧は、「次の薬局で確認する項目」にまとめています。残業の面からは「薬剤師の残業が減らない理由」も参考にしてください。
業務フローの中での位置
原因として考えられる領域
- E. 待遇・キャリア給与・昇給・休日・役職・将来性
解決方法を検討する順序
- 業務改善:業務の順序・分担・時間配分を見直す。
- SaaS/DX:システム導入で効率化できる領域がある場合に検討する。導入すれば必ず改善するとは限らない。
- 業務分担:薬剤師・事務スタッフ間などで役割分担を見直す。
- 上司・会社への相談:管理薬剤師・エリア担当・本部に状況を伝え、配置や体制の調整を相談する。
- 店舗異動:同じ会社内で、体制や業務環境の異なる店舗への異動を検討する。
- 勤務形態変更:常勤・パート・勤務日数など、働き方の契約条件を見直す。
- 外部相談:社外の相談窓口や第三者に状況を整理してもらう。
- 転職:現職での改善が難しい場合の最後の選択肢。次の職場で同じ問題が起きないよう条件を確認する。
次の職場を考えるときに
- 次の薬局で確認する項目同じ悩みを繰り返さないための確認項目
試しても変わらないときの、選択肢の一つ
次の職場で同じ悩みを繰り返さないために、何がつらかったのかを、確認する条件の形にしておくことが大切です。
1. つらさを、確認する条件に言い換える
「何が、どの程度つらいのか」を、人員・処方箋の量・システム・業務の分担といった条件にしておきます。確認する項目は次の薬局で確認する項目にまとめています。
2. 条件を、第三者に相談してみる
条件を一人で整理し、職場の実際の状況まで調べるのは、負担が大きいこともあります。薬剤師の転職に関する相談を受け付けているサービスに、条件を話してみる方法もあります。転職するかどうかは、条件が整理できてから決めて構いません。
3. 比べて、判断する
サービスの内容・条件・料金などは、提供元の公式情報で確認してください。ほかの選択肢(異動、業務の分担の見直し、システムの見直し)とも比べたうえで、決めることが大切です。
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