ファーマバンク PharmaBank

管理薬剤師との関係がつらいとき:個人の相性だけでなく、役割と体制から考える

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

管理薬剤師の指示が厳しい、話しかけにくい、業務を任せきりにされる。毎日の仕事の方向を左右する相手との関係が苦しいと、仕事そのものがつらくなります。

こうした悩みは、管理薬剤師の人柄だけでなく、管理薬剤師が置かれている状況や、店舗・会社の体制とも関係していることがあります。もちろん、個人の言動に問題がある場合もあります。このページでは、仕組みの面と個人の面を分けて考える視点を整理します。

参考:薬局の管理者の義務

薬局の管理者の義務は、医薬品医療機器等法の第8条に定められています(e-Gov法令検索、2026年10月3日に確認)。

  • 管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、薬局の構造設備や医薬品その他の物品を管理し、その他の業務について必要な注意をしなければならない
  • 管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、薬局の業務について、薬局開設者に対し、必要な意見を書面により述べなければならない

つまり管理者は、現場の監督と管理を担うとともに、開設者(会社)に対して意見を述べる立場にあります。一方で、人員の採用・配置や処遇をどこまで決められるかは、この条文からは分かりません。管理者自身が人員や業務量について会社に意見を伝えているのかどうかも、状況を理解する手がかりになります。

つらさのよくある形

  • 指示が厳しい、または一貫していない
  • 話しかけにくく、相談や確認ができない
  • 自分の業務や責任の範囲があいまいなまま、仕事を任される
  • 忙しさをぶつけられたり、機嫌に左右されたりする
  • 本部と現場の間の板挟みの影響を受ける
  • 評価や昇給の基準が見えない

背景にある仕組みを分解する

管理者自身の負担

  • 店舗の運営、報告、教育、在庫管理など、管理薬剤師の担う業務が多すぎないか
  • 人手不足の中で、管理者が現場業務と管理業務を兼ねて余裕を失っていないか

組織・マネジメント

  • 管理薬剤師への教育や、マネジメントの支援が会社に整っているか
  • 指示の出し方、業務の優先順位が店舗のルールとして整理されているか
  • 管理薬剤師以外に、相談できる経路(エリア担当、本部)があるか

個人の言動

  • 人格を否定する発言や、威圧的な言動が繰り返されていないか
  • 特定の人にだけ当たりが強い、といった偏りがないか

待遇・評価

  • 評価や昇給の基準が共有されているか

場面から、原因を絞り込む

管理薬剤師との関係も、困る場面によって、背景が分かれます。

  • 指示が日によって変わる、一貫しない

    管理者自身が本部や状況に振り回されている可能性があります。優先順位を確認する機会をつくると、行き違いが減ることがあります

  • 業務を任せきりにされる、判断を丸投げされる

    管理者が多くの業務を抱え込み、余裕を失っている可能性があります。任される範囲と、確認してほしいことを具体的に話します

  • 話しかけにくく、相談の機会がない

    時間の取り方の問題かもしれません。短い時間を決めて、結論から伝える形にすると話しやすくなることがあります

  • 特定の人にだけ当たりが強い、人格を否定される

    仕組みではなく、個人の言動の問題です。我慢の対象ではありません。記録を残し、管理者以外に相談してください

  • 評価や昇給の基準が分からない

    会社の制度の問題です。管理者個人というより、会社への確認が必要です

管理薬剤師が「怖い」「話しにくい」と感じるとき、相手を変えることより、確認の仕方と相談の経路を変えるほうが、現実的に動かしやすい場合があります。

今の職場でできること

  1. 起きたことを具体的に記録する:日付、場面、言われたこと・されたことを、事実として残す
  2. 確認を仕組みにする:口頭での指示は、メモやチャットで確認して残す。「結論から、短く」伝えるなど、相手が受け取りやすい形に整える
  3. 業務の範囲と優先順位を確認する:「この業務はどこまで自分が担当か」「優先順位はどれか」を明確にしてもらう
  4. 相談のタイミングを決める:忙しいときを避け、事前に時間をもらうなど、話しやすい場をつくる
  5. 店舗の外に相談する:エリア担当や本部の担当者、他店舗の同僚など、管理薬剤師以外の相談先を持つ
  6. 同僚と状況を共有する:自分だけの問題かを確かめ、孤立しないようにする
  7. 店舗異動を相談する:管理薬剤師が変われば、関係が大きく変わることがある

人格否定や威圧、不当な扱いが続く場合は、我慢して様子を見る必要はありません。 記録を残したうえで、社内の相談窓口や、外部の相談先に早めに相談することを検討してください。

参考:パワーハラスメントの定義と相談先

厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、職場のパワーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものとして説明しています(2026年10月3日に確認)。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

同サイトは、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワーハラスメントに該当しないとしています。典型的な例として、身体的な攻撃、精神的な攻撃(脅迫・侮辱・暴言など)、人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れ・無視)、過大な要求、過小な要求、個の侵害(私的なことへの過度な立ち入りなど)の6つの類型が挙げられています。

事業主には、パワーハラスメントを防ぐため、相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することなどが義務づけられています(労働施策総合推進法)。

相談先:会社の相談窓口のほか、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、労働基準監督署に設置された「総合労働相談コーナー」があります。総合労働相談コーナーは、全国378か所に設置され、無料・予約不要で、面談または電話で相談できます(土日祝日・年末年始は閉庁)。

どこからがパワーハラスメントにあたるかは、状況によって判断が分かれます。迷うときは、記録を残したうえで、早めに相談してください。

職場を変えないと改善しにくいこと

  • 管理薬剤師以外に相談できる経路がない、または相談しても対応されない
  • 管理者の言動が変わらず、会社も状況を把握しようとしない
  • 店舗の人数が少なく、異動や配置転換の余地がない

こうした場合は、個人の努力では限界があります。次の職場を選ぶときは、管理体制と相談経路を事前に確認することが大切です。

次の職場で確認したい条件

  • 管理薬剤師が担う業務の範囲と、担当する店舗の数・兼務の状況
  • 見学や面接で、管理薬剤師と実際に話す機会があるか。どのような話し方、指示の出し方をするか
  • 管理薬剤師以外に相談できる窓口や、異動の機会があるか
  • 直近の退職や入れ替わりの状況(「調剤薬局の人間関係」「調剤薬局の人手不足」も参照)
  • 管理者や新人への教育・サポート体制

確認項目の詳しい一覧は、「次の薬局で確認する項目」にまとめています。

業務フローの中での位置

原因として考えられる領域

  • D. 組織・人間関係管理薬剤師・上司・同僚・経営者・ハラスメント

解決方法を検討する順序

  1. 業務改善:業務の順序・分担・時間配分を見直す。
  2. SaaS/DX:システム導入で効率化できる領域がある場合に検討する。導入すれば必ず改善するとは限らない。
  3. 業務分担:薬剤師・事務スタッフ間などで役割分担を見直す。
  4. 上司・会社への相談:管理薬剤師・エリア担当・本部に状況を伝え、配置や体制の調整を相談する。
  5. 店舗異動:同じ会社内で、体制や業務環境の異なる店舗への異動を検討する。
  6. 勤務形態変更:常勤・パート・勤務日数など、働き方の契約条件を見直す。
  7. 外部相談:社外の相談窓口や第三者に状況を整理してもらう。
  8. 転職:現職での改善が難しい場合の最後の選択肢。次の職場で同じ問題が起きないよう条件を確認する。

次の職場を考えるときに

試しても変わらないときの、選択肢の一つ

次の職場で同じ悩みを繰り返さないために、何がつらかったのかを、確認する条件の形にしておくことが大切です。

  1. 1. つらさを、確認する条件に言い換える

    「何が、どの程度つらいのか」を、人員・処方箋の量・システム・業務の分担といった条件にしておきます。確認する項目は次の薬局で確認する項目にまとめています。

  2. 2. 条件を、第三者に相談してみる

    条件を一人で整理し、職場の実際の状況まで調べるのは、負担が大きいこともあります。薬剤師の転職に関する相談を受け付けているサービスに、条件を話してみる方法もあります。転職するかどうかは、条件が整理できてから決めて構いません。

  3. 3. 比べて、判断する

    サービスの内容・条件・料金などは、提供元の公式情報で確認してください。ほかの選択肢(異動、業務の分担の見直し、システムの見直し)とも比べたうえで、決めることが大切です。

PR広告

このリンク・バナーは広告を含みます。詳しくは広告・アフィリエイトについてをご覧ください。

出典