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調剤薬局の人間関係がつらいとき:少人数の職場で起きやすい仕組みから考える

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

同僚や上司との関係がぎくしゃくして、出勤するのが重い。相手との相性の問題だと思っても、毎日顔を合わせる職場では逃げ場がなく、気持ちが消耗します。

人間関係の悩みは、その人の性格や相性だけで決まるわけではありません。職場の規模、業務の忙しさ、役割の決まり方、相談できる体制といった仕組みが、関係を悪くしたり、こじれたまま続かせたりすることがあります。このページでは、人間関係を仕組みの面から見直す視点を整理します。

調剤薬局で関係がこじれやすい背景

  • 少人数で固定されたメンバー:顔ぶれがほとんど変わらず、一度関係が悪くなると距離を置きにくい
  • 業務の余裕のなさ:忙しい状況が続くと、言い方がきつくなったり、相手を気づかう余裕がなくなったりする
  • 役割や指示があいまい:誰が何を担当するかが不明確で、行き違いが生まれやすい
  • 立場の違い:薬剤師と事務スタッフ、管理薬剤師とそれ以外など、立場による見方の違いが衝突につながる
  • 相談先の少なさ:問題が起きても、店舗内で完結してしまい、第三者に相談しにくい

「この職場は人間関係が悪い」と一括りにせず、どの背景が当てはまるかを分けて見ることが、対処の出発点になります。

原因を分解する

組織・人間関係

  • 役割分担や指示の出し方が整理されているか
  • 店舗の中の上下関係や、意思決定の仕組みに偏りがないか
  • 問題が起きたときの相談経路(上司以外にも)があるか

業務量・人員

  • 忙しさや人手不足が、余裕のなさと関係の悪化を生んでいないか(「調剤薬局の人手不足」)
  • 一人あたりの負担が偏り、不満がたまっていないか

個人間の相性・言動

  • 特定の相手とのコミュニケーションの取り方に、すれ違いがないか
  • 人格を否定する発言や威圧的な言動が繰り返されていないか

参考:パワーハラスメントの定義と相談先

厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、職場のパワーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものとして説明しています(2026年10月3日に確認)。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

同サイトは、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワーハラスメントに該当しないとしています。典型的な例として、身体的な攻撃、精神的な攻撃(脅迫・侮辱・暴言など)、人間関係からの切り離し(隔離・仲間外れ・無視)、過大な要求、過小な要求、個の侵害(私的なことへの過度な立ち入りなど)の6つの類型が挙げられています。

事業主には、パワーハラスメントを防ぐため、相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することなどが義務づけられています(労働施策総合推進法)。

相談先:会社の相談窓口のほか、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、労働基準監督署に設置された「総合労働相談コーナー」があります。総合労働相談コーナーは、全国378か所に設置され、無料・予約不要で、面談または電話で相談できます(土日祝日・年末年始は閉庁)。

どこからがパワーハラスメントにあたるかは、状況によって判断が分かれます。迷うときは、記録を残したうえで、早めに相談してください。

場面から、原因を絞り込む

人間関係のつらさも、起きる場面を見ると、疑う原因が分かれます。

  • 指示や連絡が行き違う

    情報共有の仕組みの問題が多く、相手の人柄というより、伝え方・残し方で変えられる余地があります

  • 忙しいときだけ、空気が悪くなる

    業務量と人員の問題です。余裕のなさが、言い方や態度に出ています

  • 特定の1人との間だけ、うまくいかない

    個人間の相性や、立場の違いが関係しているかもしれません。第三者を交えた話し方や、距離の取り方を考えます

  • 店舗全体の雰囲気が悪い、誰も相談しない

    管理や組織の風通しの問題です。個人で変えるのは難しく、店舗の外への相談が有効です

  • 人格を否定される、威圧される、無視される

    相性の問題ではなく、ハラスメントにあたる可能性があります。我慢せず、記録を残して早めに相談してください

  • 新しく入った人との間でぎくしゃくしている

    教育や引き継ぎの設計の問題かもしれません

「相性が悪い」という言葉で片づける前に、場面を具体的に書き出してみると、直せる点と、直せない点が分かれます。

今の職場でできること

  1. 事実と感じ方を分けて整理する:「いつ、誰が、何を言った・した」と、そのときの自分の気持ちを分けて書き出す
  2. 業務上の困りごとに置き換える:「あの人が嫌」ではなく、「指示が口頭だけで行き違う」「引き継ぎが漏れる」のように、直せる点に分解する
  3. 確認の方法を変える:口頭の指示は、メモやチャットで残して確認するなど、すれ違いを減らす仕組みを入れる
  4. 一対一で伝える:感情的にならず、困っていることと、してほしいことを具体的に伝える
  5. 第三者に相談する:同僚、他店舗の薬剤師、エリア担当や本部の担当者など、店舗の外に相談先を持つ
  6. 距離の取り方を工夫する:必要な業務連絡に絞るなど、接点を減らす
  7. 店舗異動を相談する:関係が固定される少人数の店舗では、環境を変えることで改善する場合がある

特定の相手による人格否定や威圧が続く場合は、我慢して解決を待つ必要はありません。記録を残し、社内の窓口や外部の相談先に早めに相談することを検討してください。

職場を変えないと改善しにくいこと

  • 相談しても、店舗や会社が状況を把握しようとしない、あるいは対応が変わらない
  • 関係が固定された少人数の店舗で、異動や配置転換の余地がない
  • 組織の風通しや、立場による偏りが長く続いている

こうした場合は、個人の努力だけで関係を変えるのは難しくなります。次の職場を考えるときは、同じ構造の職場を選ばないための確認が大切です。

次の職場で確認したい条件

人間関係は求人票に出にくいため、確認の工夫が必要です。

  • 店舗のスタッフ数と構成(薬剤師、事務スタッフ、年齢・立場の幅)
  • 管理薬剤師や上司との関わり方、相談のしやすさ(「管理薬剤師との人間関係」)
  • 直近の退職や入れ替わりの状況
  • 店舗以外にも相談できる窓口や、異動の機会があるか
  • 見学のときの、スタッフ同士の雰囲気や声のかけ合い

確認項目の詳しい一覧は、「次の薬局で確認する項目」にまとめています。

業務フローの中での位置

原因として考えられる領域

  • D. 組織・人間関係管理薬剤師・上司・同僚・経営者・ハラスメント

解決方法を検討する順序

  1. 業務改善:業務の順序・分担・時間配分を見直す。
  2. SaaS/DX:システム導入で効率化できる領域がある場合に検討する。導入すれば必ず改善するとは限らない。
  3. 業務分担:薬剤師・事務スタッフ間などで役割分担を見直す。
  4. 上司・会社への相談:管理薬剤師・エリア担当・本部に状況を伝え、配置や体制の調整を相談する。
  5. 店舗異動:同じ会社内で、体制や業務環境の異なる店舗への異動を検討する。
  6. 勤務形態変更:常勤・パート・勤務日数など、働き方の契約条件を見直す。
  7. 外部相談:社外の相談窓口や第三者に状況を整理してもらう。
  8. 転職:現職での改善が難しい場合の最後の選択肢。次の職場で同じ問題が起きないよう条件を確認する。

次の職場を考えるときに

試しても変わらないときの、選択肢の一つ

次の職場で同じ悩みを繰り返さないために、何がつらかったのかを、確認する条件の形にしておくことが大切です。

  1. 1. つらさを、確認する条件に言い換える

    「何が、どの程度つらいのか」を、人員・処方箋の量・システム・業務の分担といった条件にしておきます。確認する項目は次の薬局で確認する項目にまとめています。

  2. 2. 条件を、第三者に相談してみる

    条件を一人で整理し、職場の実際の状況まで調べるのは、負担が大きいこともあります。薬剤師の転職に関する相談を受け付けているサービスに、条件を話してみる方法もあります。転職するかどうかは、条件が整理できてから決めて構いません。

  3. 3. 比べて、判断する

    サービスの内容・条件・料金などは、提供元の公式情報で確認してください。ほかの選択肢(異動、業務の分担の見直し、システムの見直し)とも比べたうえで、決めることが大切です。

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出典