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患者対応に疲れたとき:対応の負担が積み重なる仕組みを分解する

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

待ち時間への不満をぶつけられる、同じ説明を何度も繰り返す、電話が鳴り続ける。患者さんへの対応が続くと、仕事そのものより「人に対応すること」で疲れてしまうことがあります。

こうした疲れは、対応が下手だからではありません。多くの患者さんに、限られた人数で、同時に対応する仕組みが、負担を積み重ねている場合があります。このページでは、負担の中身を分けて、対処できる部分と構造的な部分を整理します。

負担が積み重なるポイント

  • 待ち時間への不満:調剤や監査の時間は、患者さんには見えにくく、待つ時間への不満が窓口に向かうことがある
  • 同じ説明の繰り返し:多くの患者さんに、同じ内容を何度も説明する
  • 電話や問い合わせ:調剤や服薬指導の合間に、電話や問い合わせの対応が割り込む
  • クレームの受け止め:医療機関や制度に対する不満が、窓口に向けられることがある
  • 同時進行の負荷:患者さんの対応をしながら、調剤、薬歴、在庫の仕事も進める

原因を分解する

薬剤の種類数による、服薬指導等の平均所要時間薬剤情報提供・服薬指導の平均所要時間(1回あたり)回答した薬局767/令和3年度の調査(資料は速報値)
薬剤の種類数による、服薬指導等の平均所要時間
区分値(分)
薬剤が6種類未満の調剤時約5.1分
多剤調剤時(薬剤が6種類以上)約9.0分

測定・集計の範囲:1回あたりの平均所要時間

※ 資料に示された速報値です。確定値とは異なる可能性があります。

※ 調査から数年が経っています。

出典:厚生労働省、中央社会保険医療協議会 総会 総-2「調剤(その2)」32ページ(出典: 薬局の機能に係る実態調査[令和3年度医療課委託調査]速報値)(令和3年10月22日)。原文で確認:2026-10-03

薬剤が6種類以上の調剤では、薬剤情報提供・服薬指導の平均所要時間は約9.0分で、6種類未満の約5.1分より長くなっていました(速報値)。窓口での説明にかかる時間は、処方の内容によって大きく変わります。

業務量・人員

  • 患者さんが集中する時間帯に、対応できる人数が足りているか
  • 一人薬剤師の時間帯に、窓口、電話、調剤が重なっていないか(「一人薬剤師がきつい」)

組織・マネジメント

  • クレームや難しい対応のとき、どう動くかのルールや引き継ぎ先が決まっているか
  • 対応を個人に任せきりにせず、上司や同僚が支える体制があるか

システム・DX

  • 待ち時間の見通しを伝える工夫や、受付・予約の仕組みなど、窓口の負担を減らす仕組みがあるか

待遇・働き方

  • 負担の大きさに対して、休憩や休暇が適切に取れているか

負担の場面から、原因を絞り込む

患者対応の疲れは、場面によって対処の方向が違います。

  • 待ち時間への不満を受ける

    実際の待ち時間より、待たされている理由が見えないことが負担になっている場合があります。待ち時間の目安を伝える声かけや、案内の仕組みを考えます

  • 同じ説明を何度も繰り返す

    よくある質問を、定型の説明や資料にまとめると、負担が軽くなることがあります

  • 電話や問い合わせが、調剤や指導の途中に割り込む

    受付・電話の担当を決める、対応する時間を分けるなど、割り込みを減らす設計の問題です

  • クレームを一人で受け止めている

    対応のルール(どこから上司に引き継ぐか)がない状態です。個人の対応力の問題ではありません

  • 特定の患者さんの対応が特につらい

    個別の対応方針を、店舗で共有して揃えると、一人で抱えずに済みます

  • 人が少ない時間帯に、対応が重なる

    配置の問題です(「一人薬剤師がきつい」)

対応の「うまさ」よりも、一人で受け止めない仕組みがあるかどうかが、疲れの溜まりやすさを左右します。

今の職場でできること

  1. 負担の種類を分ける:待ち時間、説明の繰り返し、クレームなど、どの場面が特につらいのかを書き出す
  2. 声かけと案内を決めておく:待ってもらうときの声かけや、よくある質問への説明を、定型の言い回しにしておく
  3. 業務を分担する:受付や電話の対応を、事務スタッフと分けられないか相談する
  4. クレーム対応のルールをつくる:自分だけで抱えず、どの場合は上司に引き継ぐかを決めておく
  5. 同僚と共有・振り返りをする:つらかった対応を共有し、対応の仕方をチームで揃える
  6. 休憩と気持ちの切り替えを確保する:対応が続いた後に、短くても離れる時間を取る
  7. 状況を上司に伝える:どの時間帯・場面で負担が大きいかを示し、人員や体制の調整を相談する

暴言や威圧が続くなど、安全にかかわる対応を受けた場合は、一人で抱え込まず、上司や会社に報告し、対応を相談してください。

参考:カスタマーハラスメント対策の義務化

厚生労働省は、2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になるとしています(Webマガジン、2026年10月3日に確認)。カスタマーハラスメントは、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。

  1. 顧客、取引相手、施設の利用者など、事業に関係する者の言動であること
  2. 社会通念上許容される範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されるものであること

事業主が講じる措置として、方針の明確化と周知・啓発、相談窓口の設置と周知、事実確認と迅速な対応、悪質な案件への対処方針の設定と体制の整備、プライバシーの保護と不利益な取り扱いの禁止の周知が挙げられています。労働者にとっては、上司や相談窓口への報告が重要とされています。

患者さんの言動がどう扱われるかは、状況や会社の方針によって異なります。一人で判断せず、まず上司や会社の相談窓口に相談してください。労働に関する相談は、都道府県労働局などの「総合労働相談コーナー」でも受け付けています。

職場を変えないと改善しにくいこと

  • 患者さんの数に対して人員が少なく、対応が常に重なる状態が続いている
  • クレームや難しい対応を、会社が個人の責任として任せたままにしている
  • 相談しても、体制や業務の分担が変わらない

こうした場合は、個人の工夫には限界があります。次の職場を考えるときは、窓口の負担を支える体制を確認しておくことが大切です。

次の職場で確認したい条件

  • 1日の処方箋の枚数と、窓口に立つ人数
  • 事務スタッフの人数と、受付・電話の役割分担
  • クレームや困難な対応のときの、引き継ぎ先とルール
  • 待ち時間への工夫(案内、予約など)の有無
  • 休憩の取り方と、人員が少ない時間帯の体制

確認項目の詳しい一覧は、「次の薬局で確認する項目」にまとめています。

この悩みに関わる仕事

業務フローの中での位置

原因として考えられる領域

  • A. 業務量処方箋過多・薬歴・在宅・患者対応・一包化
  • D. 組織・人間関係管理薬剤師・上司・同僚・経営者・ハラスメント

解決方法を検討する順序

  1. 業務改善:業務の順序・分担・時間配分を見直す。
  2. SaaS/DX:システム導入で効率化できる領域がある場合に検討する。導入すれば必ず改善するとは限らない。
  3. 業務分担:薬剤師・事務スタッフ間などで役割分担を見直す。
  4. 上司・会社への相談:管理薬剤師・エリア担当・本部に状況を伝え、配置や体制の調整を相談する。
  5. 店舗異動:同じ会社内で、体制や業務環境の異なる店舗への異動を検討する。
  6. 勤務形態変更:常勤・パート・勤務日数など、働き方の契約条件を見直す。
  7. 外部相談:社外の相談窓口や第三者に状況を整理してもらう。
  8. 転職:現職での改善が難しい場合の最後の選択肢。次の職場で同じ問題が起きないよう条件を確認する。

次の職場を考えるときに

試しても変わらないときの、選択肢の一つ

次の職場で同じ悩みを繰り返さないために、何がつらかったのかを、確認する条件の形にしておくことが大切です。

  1. 1. つらさを、確認する条件に言い換える

    「何が、どの程度つらいのか」を、人員・処方箋の量・システム・業務の分担といった条件にしておきます。確認する項目は次の薬局で確認する項目にまとめています。

  2. 2. 条件を、第三者に相談してみる

    条件を一人で整理し、職場の実際の状況まで調べるのは、負担が大きいこともあります。薬剤師の転職に関する相談を受け付けているサービスに、条件を話してみる方法もあります。転職するかどうかは、条件が整理できてから決めて構いません。

  3. 3. 比べて、判断する

    サービスの内容・条件・料金などは、提供元の公式情報で確認してください。ほかの選択肢(異動、業務の分担の見直し、システムの見直し)とも比べたうえで、決めることが大切です。

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出典