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服薬指導とは:法律で決まっていることと、時間が足りなくなる理由

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

服薬指導は、調剤した薬について、患者さんに必要な情報を伝え、薬学的な知見にもとづいて指導する業務です。調剤の流れでは、最終監査のあと、薬剤交付とあわせて行われます。

「説明に時間がかかる」「混んでいて十分に話せない」「説明と薬歴の記録が両立しない」といった悩みは、この工程で起きやすいものです。この記事では、法律で決まっていることと、負担が生まれる理由を整理します。

法律で決まっていること

服薬指導に関わる主な条文は、薬剤師法第25条の2と、薬機法第9条の4です(e-Gov法令検索、2026年10月4日に確認)。

服薬指導に関わる条文(要旨)

  • 薬剤師法 第25条の2 第1項

    内容(要旨):
    薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売または授与の目的で調剤したときは、患者または看護に当たっている人に対し、必要な情報を提供し、必要な薬学的知見にもとづく指導を行わなければならない
  • 薬剤師法 第25条の2 第2項

    内容(要旨):
    上の場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な情報提供と指導を行わなければならない
  • 薬機法 第9条の4 第1項・第2項

    内容(要旨):
    薬局開設者は、薬剤師に、対面等により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて情報提供と指導を行わせる。その際、薬剤師に、あらかじめ、使用する人の年齢、他の薬剤・医薬品の使用状況などを確認させる
  • 薬機法 第9条の4 第3項

    内容(要旨):
    情報提供や指導ができないとき、その他、薬剤の適正な使用を確保できないと認められるときは、その薬剤を販売・授与してはならない
  • 薬機法 第9条の4 第5項・第6項

    内容(要旨):
    必要がある場合には、薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握させ、情報提供・指導を行わせる。情報提供・指導を行ったときは、薬剤師にその内容を記録させる

整理すると、服薬指導は「渡すときに説明する」だけではありません。使う人の状況を確認し、必要な情報を伝え、必要に応じて使用の状況を継続的に把握し、内容を記録するところまでが、法律上の枠組みです。

服薬指導の流れ(一般的な例)

服薬指導の流れ(一般的な流れの一例。実際の運用は薬局によって異なります)

  • 1. 確認

    内容(一般的な例):
    年齢、ほかに使っている薬、アレルギーなどを確認する
    関連する条文:
    薬機法 第9条の4 第2項
  • 2. 情報提供・指導

    内容(一般的な例):
    薬の使い方や注意点を説明し、薬学的な観点で指導する
    関連する条文:
    薬剤師法 第25条の2 第1項
  • 3. 聞き取り・理解の確認

    内容(一般的な例):
    患者さんの理解や、生活への影響を聞く
    関連する条文:
    —(編集部の整理)
  • 4. 記録

    内容(一般的な例):
    指導の内容を薬歴に記録する
    関連する条文:
    薬機法 第9条の4 第6項
  • 5. フォローアップ

    内容(一般的な例):
    必要に応じて、服用の状況を継続的に把握する
    関連する条文:
    薬剤師法 第25条の2 第2項

時間の目安:公的な調査から

厚生労働省の資料(令和3年度の調査)では、処方箋1枚あたりの受付から薬剤交付・記録までの業務のうち、「薬剤交付・服薬指導」は、平均で3分29秒とされています。

処方箋1枚あたりの主な業務時間処方箋1枚の受付から薬剤交付・記録までの平均時間(業務ごと)5か所の薬局の外来患者、76枚の処方箋/資料の公表は令和3年(2021年)。調査の実施時期は、このページには記載がない
処方箋1枚あたりの主な業務時間
区分値(秒)
受付・薬袋準備1分08秒
薬歴確認・処方箋監査2分26秒
計数調剤2分33秒
監査3分05秒
薬剤交付・服薬指導3分29秒
合計(処方箋1枚)12分41秒

合計(処方箋1枚):12分41秒

測定・集計の範囲:調剤のうち、計数調剤(錠剤などを取りそろえる行為)を測定。液剤などの計量調剤、一包化を要する業務は含まない

※ 調査対象が小さく(5薬局・76枚)、全国の平均を示すものではありません。

※ 調査から数年が経っています。現在の薬局の状況と同じとは限りません。

出典:厚生労働省、中央社会保険医療協議会 総会 総-2「調剤(その2)」31ページ(令和3年10月22日)。原文で確認:2026-10-03

調査の対象は5か所の薬局・76枚の処方箋で、全国の平均を示すものではありません。患者さんの状況(初めての来局か、薬が変わったか、高齢か)によって、必要な時間は大きく変わります。

時間が足りなくなりやすいポイント(編集部の整理)

  • 説明の繰り返し

    起きやすいこと:
    同じ内容を、患者さんごとに何度も説明する
  • 混雑

    起きやすいこと:
    処方箋が集中する時間帯に、一人に使える時間が短くなる
  • 患者さんの状況

    起きやすいこと:
    多剤、新規の薬、理解に時間が必要な場合は、説明が長くなる
  • 記録との両立

    起きやすいこと:
    説明と薬歴の入力が重なり、記録が後回しになる
  • 継続的な把握

    起きやすいこと:
    フォローアップ(電話や次回の確認)の時間を確保しにくい

これらは、処方箋の量、人員、システムによって変わります。「十分に説明できない」という悩みは、どの点が原因かを分けて考えると、対処の方向が見えます。記録の面は「電子薬歴で効率化できること」、AIによる薬歴の支援は「薬局とAI」、患者さんへの対応の悩みは「患者対応に疲れたとき」を参照してください。

職場選びで確認したいこと

  • 服薬指導に使える時間が、処方箋の集中する時間帯でも確保されているか
  • 説明の補助(資材、システム、録音など)が使えるか
  • 指導の記録を、いつ、どこで入力しているか(残業につながっていないか)
  • フォローアップを、誰が、どのように行っているか

調剤の流れ全体の中での位置づけは「薬局の業務フロー」にまとめています。

業務フローの中での位置

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