電子薬歴で効率化できること:入力・端末・連携のどこが変わるのか
ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日
「薬歴が終わらない」という悩みの原因が、電子薬歴の入力のしかたにあることがあります。そのとき、システムの見直しで負担が変わる可能性はあります。ただし、導入すれば必ず改善するわけではありません。
このページでは、電子薬歴で変えられる領域を整理し、公式に公表されている情報を例に、読み方の注意点をまとめます。なお、本記事は特定のサービスの導入をすすめるものではありません。当サイトは、本記事で取り上げているサービスの提供元ではなく、このサービスに関する広告掲載の提携もしていません(2026年10月3日時点)。
電子薬歴で変えられる領域
薬歴の負担を、システムの面から分けると、次の4つに整理できます。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 入力の手間 | 文章を入力する手数、定型文やテンプレートの使いやすさ、文章をまとめる支援の有無 |
| 入力する場所と端末 | 端末の数、入力できる場所(店舗内、訪問先、移動中) |
| 店舗間・在宅の連携 | 複数の店舗で情報を共有できるか、訪問先で記録を完結できるか |
| 確認・チェックの手間 | 入力内容の確認や、情報の整理を支援する機能があるか |
入力の手間
文章を入力する手数、定型文やテンプレートの使いやすさ、文章をまとめる支援の有無
入力する場所と端末
端末の数、入力できる場所(店舗内、訪問先、移動中)
店舗間・在宅の連携
複数の店舗で情報を共有できるか、訪問先で記録を完結できるか
確認・チェックの手間
入力内容の確認や、情報の整理を支援する機能があるか
どの領域が自分の職場の負担になっているかによって、見直す方向が変わります。原因の見分け方は「薬歴が終わらないのは、能力不足とは限らない」も参考にしてください。
公式情報で見る一例:MEDIXS薬歴
調剤薬局向けのクラウド型電子薬歴の一例として、MEDIXS(株式会社メドレーが提供)の公式ページには、次のような記載があります(2026年10月3日に確認)。
- 入力は、クリック入力と指導文テンプレートに対応していると説明されています
- AIによる入力支援(AIアシスト機能)があり、「薬歴作成やチェックの手間を大幅に削減」すると説明されています
- タブレットに対応し、訪問先や外出先からもアクセスできると説明されています
- 多店舗連携の機能があると説明されています
- 1店舗内の端末の利用台数に制限はない、と記載されています
- 動作環境として、PC(Windows 11、ブラウザはGoogle Chrome)とタブレット(iPadとSafari)が記載されています
このうち、AI機能の効果について、公式ページには具体的な時間短縮の数値は記載されていません(2026年10月3日時点)。「大幅に削減」という表現は、提供元の説明であり、すべての薬局で同じ効果が出ることを示すものではありません。
AIによる薬歴作成の支援について
2025年9月1日の株式会社メドレーの発表では、「AI薬歴作成アシスト」として、薬剤師と患者さんの服薬指導中の会話を音声認識し、生成AIで要約・テキスト化して、SOAP形式での薬歴作成を簡略化する機能が紹介されています。提供については「順次提供を開始します」と記載されており、具体的な時期や提供条件は、この発表には記載されていません。実際に使えるかどうかは、提供元の最新の情報で確認が必要です。
提供元が、薬歴の課題として挙げていること
MEDIXS薬歴の紹介ページ(2026年10月4日に確認。広告として公開されているページ)では、薬局の課題として、次のようなものが挙げられています。
- 薬歴を書くために、残業が発生する
- 在宅対応のときに、薬歴を持ち出せなかった
- 薬歴に何を書けばよいのかわからない
提供元が、薬歴を業務の負担になりやすい工程として捉えていることがわかります。この内容は、上の「薬歴が終わらない」の原因(業務量・システム・人員・組織)と重なります。ただし、紹介ページの導入事例や削減率などの数値は、対象や条件が限られた提供元の公表値です。このページでは、条件を確認できないため、数値は転記しません。
数値の読み方
同じ発表の中で、メドレーが調剤薬局に勤務する薬剤師158名を対象に行った独自の調査(2025年8月5日〜19日)の結果が紹介されています。その中に、「薬歴の作成に時間がかかってしまう」と答えた人が49.2%、という数値があります。
この数値は、提供元自身が行った調査で、対象の選び方や調査の方法の詳細は、この発表からは分かりません。そのため、薬剤師全体の傾向として一般化することはできません。薬歴に時間がかかると感じる人が、一定数いることを示す一例として読むのが適切です。
公式ページには、他にも「契約継続率99%(2025年7月時点)」といった数値が記載されています。こうした数値は、算出の条件が示されていない場合は、導入の効果を直接示すものではないことに注意が必要です。
システムで変わりやすい場面と、変わりにくい場面
変わる可能性がある場面
- 入力に手数が多く、1件あたりに時間がかかる
- 端末が足りない、訪問先で入力できない
- 同じ内容を何度も入力している
システムだけでは変わりにくい場面
- 薬剤師の人数に対して、処方箋の量が常に多い
- 患者さんが集中する時間帯に、入力の時間を取れる人がいない
- 業務の割り振りが特定の人に偏っている
後者は、システムの問題ではなく、人員や業務の設計の問題です。電子薬歴を見直しても、この部分は残ります。
職場で確認したいこと
- いま使っている電子薬歴の入力方法(定型文、テンプレート、支援機能)
- 端末の数と、入力できる場所(在宅の訪問先を含む)
- 提供元に確認すれば使える機能が、設定や契約の都合で使われていないことはないか
- 入力の時間を確保するための、人員や業務の分担
システム以外も含めた、職場の確認項目は「次の薬局で確認する項目」にまとめています。求人を見るときのDXの確認項目は、「DXの導入状況を見る」を参照してください。
