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在宅業務がきついとき:負担が増える仕組みを分解する

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

在宅の訪問が増えて、店舗の業務との両立が難しい。移動や入力で時間が足りず、急な呼び出しにも備えなければならない。在宅業務が加わって、仕事の負担が大きく変わったと感じる人は少なくありません。

在宅のつらさは、本人の体力ややる気の問題ではなく、店舗の体制と、在宅の業務設計が噛み合っていないことから生まれる場合があります。このページでは、負担の中身を分解します。

参考:在宅医療を受ける患者さんへの薬局の対応

厚生労働省の案内では、在宅医療を受けている人(訪問薬剤管理指導/居宅療養管理指導の契約を結んでいる人)は、かかりつけの薬局に相談するよう示されています。また、地域には、外来で夜間・休日の緊急時の対応を行う薬局があること、開店時間外の調剤では、時間外加算などによって一部負担金が増える場合があることが案内されています(2026年10月3日に確認)。

訪問薬剤管理指導などの算定の要件や点数は、診療報酬・調剤報酬の改定で変わるため、本記事では扱いません。自分の薬局の在宅の体制(訪問の頻度、夜間・休日の対応の範囲)は、職場で確認してください。

負担が大きくなるポイント

  • 店舗を離れる時間:訪問のあいだ、店舗に残る薬剤師がいないと業務が回りにくい
  • 移動の時間:訪問先への移動で、1日の時間が圧迫される
  • 訪問先での業務と入力:訪問先での対応のあと、薬歴の入力を店舗に戻って行うことになる
  • 準備の手間:訪問前の調剤、セットの準備、書類の用意に時間がかかる
  • 急な呼び出し・待機:緊急の対応や、夜間休日の連絡への備えが必要になる場合がある
  • 多職種との連携:医師、看護師、介護職などとの連絡・調整が増える
  • 施設への対応:施設の患者さんの件数が多く、一度に扱う量が大きくなる

原因を分解する

人員

  • 在宅を担当する薬剤師と、店舗に残る薬剤師の人数に余裕があるか
  • 在宅と店舗の業務を、同じ人が兼ねていないか

業務量

  • 在宅の件数や訪問の頻度が、店舗の体制に対して増えすぎていないか
  • 訪問のスケジュールが、特定の時間帯に偏っていないか

システム・DX

  • 訪問先や移動中に、薬歴を入力できる端末・環境があるか(「薬歴が終わらない」)
  • 訪問の予定管理や情報共有が、手作業に頼っていないか

組織・待遇

  • 在宅の担当の割り振りや、待機・緊急対応の分担が決まっているか
  • 在宅の負担や待機に対して、処遇や手当が見合っているか

負担の場面から、原因を絞り込む

在宅のきつさも、どの場面が重いかで原因が分かれます。

  • 訪問のあいだ、店舗が回らなくなる

    店舗の体制の問題です。訪問する人と、店舗に残る人を分けられるか、訪問時間をまとめられるかを考えます

  • 移動の時間が長く、1日が終わらない

    訪問先の配置や、スケジュールの組み方の問題です。地域や時間帯でまとめられるかを確認します

  • 訪問後の入力が、店舗に戻ってから残る

    入力環境の問題です(「薬歴が終わらない」)。訪問先や移動中に入力できる方法がないか確認します

  • 夜間や休日に連絡が来る、気が休まらない

    待機・緊急対応の設計の問題です。範囲、分担、手当が決まっているかを確認します

  • 在宅の件数が増え続けている

    在宅を広げる方針に、体制が追いついていない可能性があります。件数の見通しと、人員の計画を確認します

  • 在宅の担当が、いつも同じ人

    担当の偏りの問題です。ローテーションや分担を相談します

「在宅は大変なもの」と受け流す前に、どの場面が一番重いかを切り分けると、相談先と内容が決まります。

今の職場でできること

  1. 在宅の業務の内訳を把握する:移動、準備、訪問、入力、連絡などに分け、どこに時間を取られているかを記録する
  2. 訪問の予定をまとめる:時間帯や地域をまとめて、移動のむだや店舗を空ける回数を減らせないか考える
  3. 担当を分ける・順番にする:特定の人に在宅が集中しないよう、分担やローテーションを相談する
  4. 入力の環境を見直す:訪問先や移動中に入力できる方法がないか、現在のシステムの範囲で確認する
  5. 待機・緊急対応の範囲を確認する:連絡を受ける範囲や時間、手当の有無を、あらためて確認・相談する
  6. 店舗の体制を相談する:訪問中の店舗の体制や、応援の要請について、上司へ具体的に伝える
  7. 店舗異動を相談する:在宅の規模や体制は店舗によって異なる

職場を変えないと改善しにくいこと

  • 在宅を拡大する方針に対して、人員の増強や体制の見直しが進まない
  • 24時間の対応などが前提で、個人の負担が変わらない
  • 相談しても、担当の分担や待機の範囲が変わらない

こうした場合は、個人の工夫には限界があります。次の職場を考えるときは、在宅の規模と、それを支える体制を事前に確認することが大切です。

次の職場で確認したい条件

  • 在宅の件数・施設の数と、担当する人数
  • 訪問中の店舗の体制と、移動の手段・時間
  • 待機・緊急対応の有無と範囲、手当の扱い
  • 訪問先や移動中に入力できる環境
  • 在宅専任か、店舗業務との兼任か

確認項目の詳しい一覧は、「次の薬局で確認する項目」にまとめています。

業務フローの中での位置

原因として考えられる領域

  • A. 業務量処方箋過多・薬歴・在宅・患者対応・一包化
  • C. 人員一人薬剤師・欠員・応援不足・採用不足

解決方法を検討する順序

  1. 業務改善:業務の順序・分担・時間配分を見直す。
  2. SaaS/DX:システム導入で効率化できる領域がある場合に検討する。導入すれば必ず改善するとは限らない。
  3. 業務分担:薬剤師・事務スタッフ間などで役割分担を見直す。
  4. 上司・会社への相談:管理薬剤師・エリア担当・本部に状況を伝え、配置や体制の調整を相談する。
  5. 店舗異動:同じ会社内で、体制や業務環境の異なる店舗への異動を検討する。
  6. 勤務形態変更:常勤・パート・勤務日数など、働き方の契約条件を見直す。
  7. 外部相談:社外の相談窓口や第三者に状況を整理してもらう。
  8. 転職:現職での改善が難しい場合の最後の選択肢。次の職場で同じ問題が起きないよう条件を確認する。

次の職場を考えるときに

試しても変わらないときの、選択肢の一つ

次の職場で同じ悩みを繰り返さないために、何がつらかったのかを、確認する条件の形にしておくことが大切です。

  1. 1. つらさを、確認する条件に言い換える

    「何が、どの程度つらいのか」を、人員・処方箋の量・システム・業務の分担といった条件にしておきます。確認する項目は次の薬局で確認する項目にまとめています。

  2. 2. 条件を、第三者に相談してみる

    条件を一人で整理し、職場の実際の状況まで調べるのは、負担が大きいこともあります。薬剤師の転職に関する相談を受け付けているサービスに、条件を話してみる方法もあります。転職するかどうかは、条件が整理できてから決めて構いません。

  3. 3. 比べて、判断する

    サービスの内容・条件・料金などは、提供元の公式情報で確認してください。ほかの選択肢(異動、業務の分担の見直し、システムの見直し)とも比べたうえで、決めることが大切です。

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出典