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医療系SaaSの業界マップ(日本):領域別のプレイヤーと、公開されている導入数・シェア

ファーマバンク編集部 / 公開日 / 更新日

薬局で使うシステムは、薬局だけの世界で完結していません。電子薬歴やレセプトコンピュータの会社が、病院・クリニックのシステムや、採用(人材)のサービスも手がけている例があります。このページでは、医療系SaaSを5つの領域に分けて、メドレーを含む主な事業者と、各社が公表している導入数やシェアを、出典つきで整理します。

薬局DXの観点では、職場選びのときに「どのシステムを使っているか」を聞く場面があります。業界の全体像を知っておくと、その言葉の意味を読み取りやすくなります(確認項目は「DXの導入状況を見る」にまとめています)。

なお、本記事は特定のサービスの導入や、特定の企業をすすめるものではありません。当サイトは、本記事で取り上げているサービスの提供元ではなく、これらのサービスに関する広告掲載の提携もしていません(2026年10月4日時点)。

業界マップ(図)

医療系SaaS業界マップ(日本)。人材・採用、クリニックDX、病院DX、薬局DX、患者接点の5領域ごとに、メドレーを含む主な事業者と公開KPIを整理した図(2026年10月時点)

ファーマバンク編集部が作成した整理図(2026年10月時点の公開情報をもとにした概念図)。画像をタップすると拡大します。図中の数値には、各社の公表時期や集計方法の違いがあり、一部は下の「公開されているシェアのデータ」「公開されている導入数(一覧)」(出典・基準日つき)と表記が異なります。数値は、出典つきの下の表を優先してください。

領域別の整理(補足)

  1. 1人材・採用プラットフォーム

    医療・介護の求人・採用支援、採用管理システムなど。転職支援サービスの比較は、当サイトの方針により行いません。

    • メドレージョブメドレー、GUPPY、ジョブメドレーATS など
    ジョブメドレー(メドレー)
    登録事業所 43.8万、登録医療従事者 300万人2026年1月時点(自社公表)/出典

    競争の軸(編集部の整理):集客力 / 求人掲載・採用の仕組み / 職種ごとの強み / 採用管理のIT化

  2. 2クリニックDX(電子カルテ・予約・オンライン診療)

    診療所向けの電子カルテ、予約、オンライン診療、AI問診など。

    • メドレークリニック向けプロダクト
    • エムスリーデジカルクラウド電子カルテ
    • DONUTSCLIUS
    • MICINcuron(オンライン診療)
    • インテグリティ・ヘルスケアYaDoc
    • UbieユビーAI問診
    エムスリーデジカル
    クラウド電子カルテの累計導入件数 10,000件(同社は「市場シェアで圧倒的No.1」と表記。根拠の注記は「m3.com調査2026年3月」)2026年8月6日発表(自社公表)/出典
    MICIN(curon)
    約7,000の医療機関に導入(基準日の記載なし)2025年12月22日発表(自社公表)/出典
    Ubie(ユビーAI問診などのシリーズ累計)
    病院・クリニックあわせて全国47都道府県・1,800以上の医療機関に導入2026年1月時点(自社公表)/出典

    競争の軸(編集部の整理):導入件数 / クラウド化 / 予約から診察・決済までの一貫性 / AI

  3. 3病院DX(病院向け電子カルテ・院内業務・AI)

    病院向けの電子カルテ、院内業務の支援、AI。既存の基幹システムを持つ大手ベンダーが多い領域。

    • メドレーMALL(病院向け電子カルテ)
    • Ubieユビー生成AI
    • 富士通JapanHOPE
    • NEC
    • ソフトウェア・サービス
    • CSI
    MALL(メドレーグループ)
    導入件数 約200件、継続率 99%(約20年の運用実績。基準日の記載なし)公式ページの記載(自社公表)/出典
    ユビー生成AI(Ubie)
    全国100病院(大学病院10施設以上を含む)に導入2026年1月時点(自社公表)/出典

    競争の軸(編集部の整理):既存の基幹システムとの連携 / 病院の規模への対応 / AIによる文書作成 / 導入・保守の体制

  4. 4薬局DX(電子薬歴・レセコン・在庫・服薬指導)

    調剤薬局向けの電子薬歴、レセプトコンピュータ、在庫管理、服薬指導の支援など。

    • メドレーMEDIXS(薬歴・レセコン・在庫管理・かかりつけ支援)
    • EMシステムズ調剤システム
    • カケハシMusubi
    • ウィーメックス(PHC)
    EMシステムズ(調剤システム)
    顧客数 23,516件/対象母数 55,000件(自社が独自に設定)=シェア 42.8%2026年3月31日現在(自社公表)/出典
    カケハシ(Musubi「AIアシスタント 音声薬歴生成機能」)
    導入5,500店舗を突破(「業界トップクラス」は自社調べ)2026年8月31日時点(自社公表)/出典

    競争の軸(編集部の整理):基幹システムのシェア / 薬歴の画面・操作性 / 電子処方箋への対応 / AI活用

  5. 5患者との接点・医療体験

    オンライン診療、問診、予約、決済など、患者さんが使う入口。

    • メドレー患者向けのオンライン診療・アプリ
    • MICINcuron
    • Ubieユビー
    • インテグリティ・ヘルスケアYaDoc

    この領域で、数値の公表が確認できた事業者は、上記のほかにはありません。

    競争の軸(編集部の整理):患者の獲得 / 継続的な受診 / 使いやすさ / 決済・配送との連携

枠の色が付いた「メドレー」は、本ページの取り上げ対象です。事業者の並びは、導入数・シェアの順位ではありません。

公開されているシェアのデータ

業界全体の市場シェアを示す公的な統計は、本ページの確認の範囲では見つかりませんでした。公開されているのは、各社が自社の資料で示す導入数や、自社が設定した母数に対する割合です。

その中で、数値の根拠まで確認できたものとして、EMシステムズが決算説明資料で示している、領域ごとのシェアを示します。

EMシステムズが示す、領域別の自社シェア同社が設定した対象母数に対する、顧客数の割合(2026年3月31日現在)調剤システムは顧客数23,516件/対象母数55,000件(同社の設定)/2026年3月31日現在
EMシステムズが示す、領域別の自社シェア
区分値(%)
調剤システム42.8%
介護システム5.6%
医科システム3.9%

測定・集計の範囲:同社が自社の製品の販売先として設定した対象母数に対する顧客数の割合。全国の薬局・医療機関の数を母数にした公的な統計ではない

※ 母数の定義は同社の設定で、他社のシェアと同じ尺度では比べられません。

※ 上場企業の決算資料に記載された、自社公表の値です。

出典:株式会社EMシステムズ、決算説明資料 2026年12月期 第1四半期 37ページ(2026年5月14日)。原文で確認:2026-10-04

同社は、2026年3月31日現在、調剤システムの顧客数を23,516件、対象母数を55,000件として、シェアを42.8%と示しています。対象母数は、同社が製品の販売先として独自に設定したもので、全国の薬局数などの公的な値ではありません。

シェアとして読むときの注意

  • 母数の定義が、会社ごとに違う:EMシステムズの母数は同社の設定で、他社のシェアと同じ尺度で比べることはできません
  • 導入数は、自社の公表:基準日と数え方(店舗数、医療機関数、契約数など)が、会社・サービスごとに異なります
  • 「No.1」「業界トップクラス」は、自社の表記:エムスリーデジカルは「市場シェアで圧倒的No.1」と、カケハシは音声薬歴生成機能の導入数を「業界トップクラス」と表記しています。根拠は、それぞれ「m3.com調査2026年3月」「自社調べ」と記載されています
  • 順位ではない:上のマップの並びは、導入数やシェアの順位を示すものではありません

公開されている導入数(一覧)

  • EMシステムズ(調剤システム)

    指標:
    顧客数/対象母数/シェア
    数値:
    23,516件/55,000件/42.8%(母数は自社設定)
    基準日:
    2026年3月31日現在
  • カケハシ(Musubi 音声薬歴生成機能)

    指標:
    導入店舗数
    数値:
    5,500店舗を突破
    基準日:
    2026年8月31日時点
  • メドレー(ジョブメドレー)

    指標:
    登録事業所/登録医療従事者
    数値:
    43.8万/300万人
    基準日:
    2026年1月時点
  • メドレーグループ(電子カルテMALL)

    指標:
    導入件数/継続率
    数値:
    約200件/99%
    基準日:
    基準日の記載なし
  • エムスリーデジカル

    指標:
    クラウド電子カルテの累計導入件数
    数値:
    10,000件
    基準日:
    2026年8月6日発表
  • MICIN(curon)

    指標:
    導入医療機関数
    数値:
    約7,000
    基準日:
    2025年12月22日発表(基準日の記載なし)
  • Ubie(ユビーAI問診などのシリーズ累計)

    指標:
    導入医療機関数
    数値:
    1,800以上(47都道府県)
    基準日:
    2026年1月時点

メドレーの位置づけ

メドレーは、公式ページの説明では、「医療従事者と医療機関をつなぐ」人材プラットフォーム事業と、「医療機関と患者・生活者をつなぐ」プロダクトの両方を提供しています。薬局向けでは、電子薬歴を軸に、レセコンと在庫管理を加えたクラウドサービス「MEDIXS」を展開しています(提供開始の時期は、上記の発表資料で確認してください)。

  • 人材・採用

    メドレーのプロダクト(公式の記載):
    ジョブメドレー、GUPPY、ジョブメドレーATS など
  • 病院DX

    メドレーのプロダクト(公式の記載):
    電子カルテ MALL(200床未満を含む病院向け。グループ会社のパシフィックメディカルが提供)
  • 薬局DX

    メドレーのプロダクト(公式の記載):
    MEDIXS(電子薬歴・レセコン・在庫管理・かかりつけ支援)
    出典:
    発表資料
  • クリニック・患者接点

    メドレーのプロダクト(公式の記載):
    電子カルテなどの基幹業務のデジタル化、オンライン診療、患者向けアプリ など

これは、メドレーが各領域で首位であることを示すものではありません。取り扱う領域が広い、という事実の整理です。

メドレーが直面する障壁(編集部の整理)

メドレーのように複数の領域にまたがる事業者が、業界で事業を広げるときの論点を、図にまとめました。

メドレーが業界攻略で直面する障壁。既存大手ベンダーの強さ、領域ごとの競争構造の違い、導入ハードルと営業負荷、制度・規制への追随、患者接点の両面市場、メドレーの勝ち筋を6つに整理し、要点サマリーと結論を付けた図(2026年10月時点)

ファーマバンク編集部による整理図(2026年10月時点の公開情報と業界構造をもとにした見立て)。画像をタップすると拡大します。障壁・勝ち筋の評価は編集部の整理であり、各社の公式見解ではありません。図中の数値は、上の「公開されているシェアのデータ」「公開されている導入数(一覧)」(出典・基準日つき)と表記が異なる箇所があるため、数値は表を優先してください。また、図中の数値は市場シェアそのものではなく、公開されているKPIです。

薬局DXの視点で読む

  1. 薬歴は、負担が集まりやすい工程:薬局向けの電子薬歴を提供する事業者の紹介ページでも、薬歴を書くための残業や、在宅時の薬歴の扱いが課題として挙げられています(「電子薬歴で効率化できること」)。薬局向けの各社が、薬歴の支援(AIを含む)に力を入れているのは、このためと読めます(編集部の見方)
  2. 基幹システムのシェアには、定義がある:薬局向けの基幹システム(調剤システム)は、EMシステムズが自社の定義で約4割を示しています。一方で、メドレーやカケハシなど、他の事業者も、AIを使った薬歴支援を提供しています
  3. 効果の数字には、条件がある:各社が示す「作成時間の短縮」「削減率」などは、測定の条件や対象が会社ごとに異なります。数字そのものより、どの店舗を、どう測ったかを確認します(「電子薬歴で効率化できること」)
  4. 職場選びでは、サービス名より「何がどう楽になっているか」:導入しているシステム名だけでは、働きやすさは分かりません。人員や処方箋の量とあわせて確認します(「DXの導入状況を見る」)

悩みから原因を整理する

職場選びの条件を確認する電子薬歴・調剤機器・業務分担など、職場を選ぶ際の確認ポイントを整理しましょう。

出典